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杉原邦生 インタビュー|カナガワ リ・古典プロジェクト  2015 in 大山
美術・写真 演劇・ダンス 講座・ワークショップ
2015.10.27

杉原邦生 インタビュー|カナガワ リ・古典プロジェクト 2015 in 大山

Interview & Text : 井上 明子     Photo : 西野 正将

地域に根ざした伝統芸能の魅力を多くの人に体験してもらうことを目的に2013年に始動した「カナガワ リ・古典プロジェクト」では、3回目となる今回、次世代を担う演出家 杉原邦生さんを総合演出に迎え、神奈川県伊勢原市にある「大山」を舞台に、伝統と歴史がリミックスされるスペクタクルエンターテイメントショーを開催。11.7(土)の本番までひと月をきった10月某日、そのプロジェクトについて、杉原さんにお話をうかがうことができた。

杉原邦生とは

ー 「カナガワ リ・古典プロジェクト」ですが、今年は大山が舞台ということで、昨年の江ノ島編からのインタビューの流れを踏襲して、今回もまずは杉原さんの自己紹介からお願いしたいと思います。普段演劇をあまり観ない方にもわかるように、簡単に自己紹介をしていただけますか。

どこから話したらいいかなぁ…。
僕は、生まれは東京なんですけど、小学校に入るときにおじいちゃんとおばあちゃんが住んでいた茅ヶ崎に引っ越したんですね。それから小中高と12年くらい茅ヶ崎の海の近くで育って、高校は江の電沿線の鎌倉高等学校に通ったんです。そこは学校行事がすごく盛んで、それまで真面目に勉強していたのに急に飽きちゃって、学校行事にばっかり夢中になっていきました。そこで、文化祭みたいにみんなで一つの目標に向かって何かをつくることの楽しさを知って、そういうことをやっていけたらいいなと思ったのが舞台の道に進むきっかけですね。

ー その時点でもう、舞台だったんですね。

そうなんですよ。でも、小さい頃からお母さんがバレエとか歌舞伎が好きだったので、茅ヶ崎文化会館によく観に行ってたりもしていたんですよね。そういう親の影響も大きいと思います。

僕の世代の日本の演出家は、劇作家も兼ねている人が多いんですけど、僕は作文も嫌いだし、文字を書くことに全然興味がないので、台本を書こうという意識があまりないんですよ(笑)だから僕みたいに戯曲を書かずに演出だけしているのは、結構珍しいと思います。演劇に興味を持ったのも、最初は舞台美術からだったし。

ー 杉原さんの肩書きが「演出・美術」となっているのも珍しいなと思っていたんですが、そういうルーツがあったんですね。

そうなんです。そういう意味でもちょっと特殊なのかなって思います。
そんな感じで21歳から今まで活動してきて、今年でもう11年?くらいですかね?

おーー、ほぼ一回りだ!一回り!

あ、声でかくてスイマセン……笑

杉原 邦生

大山ってどんなところ?

ー 茅ヶ崎育ちとのことですが、今回のプロジェクトの舞台「大山」とのご縁はいつ頃からですか?

それが、まったくないんですよ(笑)
実は、最初に「大山でやります」っていうお話をいただいた時、「大山ってどこじゃい?」って思ったくらいで…。だから、はじめて下見に行った時が最初ですね。

ー その時の第一印象は?

事前情報として、登山客が多いって聞いてたんですけど、初めて行ったのが3月の平日だったからか、お店も空いてないし、人もいなくて、ちょっとゴーストタウンみたいだなぁって思ったのを覚えてます。でも、自然がいっぱいで空気もおいしくて、すごく気持ちよかったですね。

ー そうだったんですね! 補足ですが、私が最近大山登山にいった時は、ケーブルカーが新装オープンしたばかりだったことや秋の行楽シーズンということもあって、すごく賑わっていました。多分11月7日の本番を迎える頃には、紅葉も見頃になって、ますます空気もおいしく美しい景色をみることができるんじゃないかなぁと思います。

そうそう、ケーブルカーが10月に新しくなったばかりなんですよね。

ケーブルカー  

リ・古典プロジェクト2015 in 大山とは?!

ー 杉原さんは、KYOTO EXPERIMENTの「文化祭」と題した演目では、公募で募った出演者と演劇をつくったり、木ノ下歌舞伎では現代演劇の視点から古典を再構成する試みをされていたりと、これまでもチャレンジングなことを沢山されてきていますよね。今回の「リ・古典プロジェクト 2015 in 大山」も、古典を現代の視点で再発見するという大きなテーマのもと、日本舞踊の藤間蘭黄さんや、地域の伝統芸能の方々との共演もあり、座組としてはすごく新鮮なものになると思います。そのディレクションを杉原さんがされるとうかがった時は、個人的にはすごく適任だなと思いました。そのあたり、ご自身ではいかがですか?

ありがとうございます。今まで一般公募での作品づくりは何度もやってきて、その中には60歳以上のシニアの方30人と芝居をつくるというものもありました。そうやっていろいろとやってきた中で、今回のプロジェクトも新しいことだけれども、そんなに気負いみたいなものはないかもしれないです。でも、僕にとって今回一番の挑戦は、やっぱり会場が野外っていうところかなぁ…。

以前からいろんな人に「野外公演似合うよ」って言われてきたんですよ。でもとにかくすごい大変だなことが多いから、それよりも劇場でおもしろいことをやったほうがいいなって今まで思ってたんです。でも、こうして機会をいただけたので、何か新しいことができたらいいなと思ってます。野外って予想できないことが多いから…。

ー そうですね。劇場と違って、野外だと人の動きも様々ですし、天候にも左右されますよね。今回は伊勢原~大山というものすごく広いエリアを使ってのプロジェクトでもあります。

そう。観客の集中力をどう演出するかの範囲も劇場とは変わってくるので、僕にとってはすごい挑戦だし、めちゃくちゃ楽しみなところです。

悠久の歴史をもつ大山が巨大CLUBに変わる! 気になる内容は・・・

ー 杉原さんは、ご自身が主宰するカンパニー KUNIOでの『ハムレット』(シェイクスピア)や『更地』(太田省吾)、また木ノ下歌舞伎の『三人吉三』(河竹黙阿弥)のように、原作があるものを独自の解釈で演出されてきたというイメージが強いのですが、今回は、かつて江戸の人々の憧れの地だった大山の山頂にある阿夫里神社に参詣する“大山講”(※1)という史実を題材にオリジナルの作品をつくられるということなので、いつもと違う杉原さんの一面がみられるのではと期待しています。本番まで一ヶ月をきった現段階での感触を聞かせてください。

※1:大山詣りを目的として組織された同業者や地域住民の集まりのこと。大山詣りが大流行した江戸中期には、さまざまな地域ごとに大山講が組織され、関東一円より人々が大山に訪れた。当時全ての大山講を合わせると70万人にもなったと言われている。

今回、神奈川の各地に伝承されてきた芸能や、藤間流の日本舞踊など伝統芸能を扱うので、なんとなく字面だけ並ぶと、観る側も「お勉強」みたいな感じになりがちだと思うんですよね。僕の活動の芯には、演劇を観るのも、ディズニーランドに行くのも、カラオケに行くのも全部一緒のレジャーになったらいいなっていう想いがあるので、そこをまず崩したいなぁっていうのがあります。

ー 実は、できたての台本の草案を読ませていただいたんですけど、すごくおもしろかったです。
劇中の登場人物とお客さんが、同時に舞台上で繰り広げられる伝統芸能を目の当たりにしていくという設定になっているので、当日は、お客さんも一緒に劇の一部を担っていく臨場感を味わえるのではないかという気がしています。もしよければ、ネタバレにならない程度に内容をご説明いただけますか。

「大山に行くと何でも願いが叶うらしい」というジンクスを信じて、江戸時代に流行った”大山講”のコスプレをした4人の若者たちが、渋谷からやってくるんですけど、彼らがそこでの様々な出会いを通して、江戸時代から…というかもっと昔から、山に蓄積された無数の人たちの祈りや願いを目の当たりにしていくというのが、基本のストーリーになってます。

伝統芸能も蓄積の上で成り立っているものだけど、僕らって、やっぱり今のことしか考えないことが多いですよね。でも、今生きている社会があるのは、そこまでのいろんな歴史とか、努力とか、汗とか、人の営み、いろんなものが積み重なった上で成り立っているんだってことをやっぱり忘れちゃいけないと思うんですよね。だからといって、道徳劇みたいにはしたくないので、そういうことがふわっと自然に伝わるようなものにできればなと思ってます。

あと、当日はお客さんが800人入るところで上演するので、それだけの人たちが大山に集まっているという祝祭性を、会場全体で演出できたらいいですね。

杉原 邦生

伝統芸能との共演

ー 今回劇中に、5つの伝統芸能団体(大山阿夫利神社の倭舞及び巫子舞、相模里神楽、相模のささら踊り、曽我別所の寿獅子舞、藤沢とび職木遣)と、日本舞踊の藤間蘭黄さんが登場し、それぞれの芸を披露してくださいますが、彼らとの共演についてもお聞かせください。

地域の伝統芸能の方々とは、それぞれ一回ずつお話をして、稽古を観せていただいたりもしたんですが、1時間半の劇の中で、例えば”相模のささら踊り”について、その歴史も含めて全部を知ってもらうことは不可能だと思うんですよね。でも実際に、その芸能を継承している人たちの顔がみえて、彼らの魅力を少しでも伝えることができれば、興味を持ってもらえるきっかけくらいはつくれるんじゃないかなということで、彼らにも芸を披露してもらうだけじゃなく、様々な方法で劇中に登場してもらう予定です。

ー なるほど、それは楽しみですね。また、藤間蘭黄さんとのコラボレーションはいかがですか?

昨日ちょうど、蘭黄さんとルジマトフのバレエ公演「出会いー信長 NOBUNAGA」を観に行って、少しお話させていただいたんですけど、とても柔軟な方で、いい感じのコラボレーションができるんじゃないかなという気がしてます。昨日のバレエ公演では、本編の前にそれぞれのソロがあって、そのとき、蘭黄さんは、今回大山で披露してもらう「山帰り」の短いバージョンを踊っていらっしゃったんですよ。

ー「山帰り」は、大山講が山頂を参詣した帰りの道中の様子を踊りにしたものですよね。実際にご覧になっていかがでしたか?

すごくシンプルな踊りなんですけど、所作一つ一つとっても、きちんと意味がわかるというか、物語になっている感覚を受けたので、さすがだなと思いました。今回の「カナガワ リ・古典プロジェクト2015 in 大山」では、実際の舞台となった大山でこの「山帰り」を観ることができるので、それもまたすごく貴重な機会だと思います。

ー まさにそうですね。しかもこの「山帰り」が劇のフィナーレになるということですか?

そうですね。あと、今回は会場全体を巨大なクラブみたいにしようかなと思っていて、今ちょうど、相模のささら踊りのクラブバージョンの音源をつくってもらっているんですけど、その曲で会場のお客さんと一体になれたらいいなと思ってます。

ー ということは、最後はみんなで踊るんですか?

そう、去年江ノ島編で総合演出をされた白神ももこさんに、座ったままでできるような簡単な振りを考えてもらってます。あと、みんなにサイリウムっていう発光する棒を配って、最終的には、来てくれたお客さん一人一人の願いが、山に託されていったらいいなと思ってます。

ー すごく壮大な劇になりそうですね。

そうなんですよね。とか言って、すごいショボくなっちゃったりしてね、話だけで(笑)

杉原 邦生

ー いえいえ、期待しています(笑)

それでは最後に、当日来てくれるお客さんにむけて、杉原さんからひとことメッセージをお願いできますか。

もちろん事前にいろんなことを調べてきてもらってもいいんですけど、何も調べなくても、「なんかおもしろそうなイベントだな~」とか、「お祭りっぽくて楽しそうだな~」とか、「無料だし行ってみようかな~」とか、そういう感じで来てもらって全然大丈夫です。それで「カナガワ リ・古典 プロジェクト2015 in 大山」の全てのプログラムの中で、何かしらおもしろいポイントだったり、気になるポイントだったり、興味を持ってくれるポイントを少しでも見つけてもらえれば、僕は成功だなと思ってるので、難しいことは考えずに軽い気持ちで遊びに来てください。「お勉強会」ではなく、僕らも楽しみながら、楽しい時間を作ろうと思ってます。

ー ありがとうございます。余談ですが、2010年のインタビュー(※リンク)で、いつか「地域のお祭りのディレクションをしてみたい」ということをおっしゃっていたと思うんですが、今回、ある意味夢が叶ったんじゃないですか?

そうそうそう(笑) 地域のお祭りのプロデュースとかしたかったんですよ。「大山興し」みたいな感じの。

ー 是非、盛り上げていただきたいです。本日はありがとうございました。

「カナガワ リ・古典プロジェクト 2015 in 大山 を満喫するモデルコース」

※今回多数の申込をいただいており、メインプログラム「大山まうで 舞をどり」開場時の入場は、整理券番号順とさせていただきます。整理券は13:00から会場受付(大山阿夫利神社社務局)で配布しますので、お手元の入場券(当選のお知らせのハガキ、又はメールを印刷したもの)をお持ちの上お越し下さい。入場券をお持ちであれば、整理券がなくても入場できますが、入場整理券をお持ちの方が全員入場した後となりますので、お待ちいただく可能性がございます。何卒ご了承ください。

11/7(土)

〈大山まうで 舞をどりまでの道〉

小田急線伊勢原駅 の改札口を出て、右折してください。
小田急線伊勢原駅



階段を降りて
小田急線伊勢原駅



そのまま 伊勢原駅北口4番バス乗り場
伊勢原駅北口4番バス乗り場

  バス乗り場付近では「リ・古典プロジェクト in 大山 2015」のMAP兼プログラムを配っています。
※MAPはこちらからもダウンロードできます → 1ページ目2ページ目



「大山ケーブル」行きバスに乗って25分、「大山駅バス停」 で下車
14:00からこの周辺では、 スイッチ総研 による「伊勢原・大山スイッチ」 を楽しむことができます。
徒歩10分圏内に様々な仕掛けがほどこされているので、ぜひコンプリートしてみてください。
※スイッチ総研=「スイッチ」を押すと「何か」が起こる3秒から30秒の小さな演劇。

多摩一キロスイッチ

写真:多摩一キロスイッチの様子


15:30 
阿夫利神社社務局能楽殿 にて「大山まうで 舞をどり」が開演します。
※会場は、大山ケーブルカー終点の大山阿夫利神社「下社」ではなく、「大山ケーブル」バス停より700m程度手前の「社務局」です。(Google mapでは「大山阿夫利神社参集殿洗心閣」と表示されます)ご来場の際はお間違えのないようご注意ください。

阿夫利神社社務局能楽殿

阿夫利神社社務局能楽殿

当日は会場に屋台もでているので、早めに会場についても大丈夫。大山名物を楽しみながら開演までの時間を過ごせます。

関連するURL:http://www.kunio.me/
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