女子大生が行く!~ 女流義太夫 竹本駒之助公演 in KAAT~
皆さんこんにちは!
まだまだ寒い日が続いておりますが久しぶりのマグカルさんレポートです!
今回は女子大生の泉多希子さん、福島珠理さんのお二人にKAAT神奈川芸術劇場で上演された
KAAT竹本駒之助公演 第二弾『太平記忠臣講釈』(たいへいきちゅうしんこうしゃく)七段目「書置の段」を
をレポートしていただきました。
そして今回はお二人の提案によりなんと対談形式のレポートとなっております。
古典芸能を間近にみるのは初めてだったというお二人の率直な感想が込められた対談式レポートを是非ご覧下さい。
福島:泉さんはどうして今回の「KAAT竹本駒之介公演」を観劇しようと思ったの?
泉:私はミュージカルが好きなんだけど、大学では全く関係のない経営学を学んでいて、趣味が舞台観劇。古典芸能は観る機会がなくて、
前からどのようなものなのか一回観てみたいなと興味はあったの。今回の公演はチケット代もお手頃だったのもあって観劇しました。福島さんは?
福島:私もミュージカルとか演劇はよく観に行くけど、古典芸能と聞くと自分とは程遠い印象がありました。
でも、最近は歌舞伎に興味があって、歌舞伎は江戸時代の大衆娯楽だったから、当時の人々はこれを観て泣いたり、笑ったりしていたんだなと考えながら観ると、
親しみを持ちやすくなって…江戸時代って遠い昔のことだけど、自分と近い存在に感じることができたの。
今回の女流義太夫も昔は人気があってアイドル的存在だったということを知って、興味を持ちました。泉さんは実際観て、自分がイメージしていたものと違った?
泉:どういうものなのか全く分からない状態で初めて義太夫を聴いたときは圧倒されて…迫力が凄かったし驚きも大きかったな。
今回は舞台との距離も近かったから、太夫さんを間近で感じることが出来たし、物語の世界に入ることが出来ました。
自分から語りを聴こうという姿勢も自然と生まれたしね。今回は色んな意味で楽しむことが出来たかな。
福島:義太夫は「台本を読んでいるだけのただの朗読劇」というイメージがあったけど、イメージと違ったよね!
読んでいることに変わりはないけど、リズム感ある流れで…。
泉:演劇そのものだよね。座って語っているだけなんだけど、情景が目に浮かぶ!世界観を完全に作り上げていると思った。
福島:今回は駒之助さんがナレーターも含め、一人で乳飲み子からおじいさんまで8役も演じ分けていたけど、
8役も演じているのを感じさせない流れがあるというか、物語の進み具合もリズム感があって心地よかった。
泉:声の表情がそれぞれあるから、「この人が話しているんだ」「こういう会話なんだな」っていうのがすごい掴み易かったね。
福島:私のイメージでは三味線はバックミュージックのような役割で控え目に演奏すると思っていたけど、
津賀寿さんの三味線はひとつの演奏として独立していたように思えた。三味線だけ聴きに来る楽しみ方もあると思う。
泉:そうだね。でもやっぱり三味線の津賀寿さんと駒之助さんのタイミングが凄いよね。
福島:完全に一致しているよね。物語全体が徐々に盛り上がり、音が来てほしい絶妙のタイミングで鳴り響く!
三味線の音って単純な印象を持っていたけど、色々な音を出すことが出来るし激しく弾く場面ではその迫力にも圧倒された。
泉:呼吸の合わせ方が完璧なんだね。メディアに露出するのは駒之助さんだけど三味線の音も楽しんでもらいたい。
福島:あと駒之助さんはネットの動画とかで見ると柔らかい穏やかな方の印象で、近所の親切な優しいおばあちゃんという雰囲気だったよね?
泉:うんうん、すごい親しみを持ちやすい方だなって思った。でも、舞台に立った時の表情がイメージと全く違って…。
語っている時の迫力のあるギャップ凄くて!観ないと分からないから観てほしい!(笑)
©KAAT神奈川芸術劇場
福島:動画を観劇前に見てから駒之助さんの舞台を観ると、そのギャップに驚くと思うし、駒之助さんの魅力をさらに感じられるよね。
泉:「竹本駒之助 女流義太夫一代記」もHPに載っていてそれを読んだんだけど…義太夫って私たちの生活には全く関わりがなくて世界が違うでしょ?
自分とは関わりのない方の半生を知るってことが刺激的だった。
福島:「こういう人生が自分の知らないところにあるんだ」って知ること自体が大河ドラマを見ているような面白さがあったよね。
泉:今、生きている時代は一緒なのに面白いよね。駒之助さんのルーツを知ることで舞台の見方も変わるし、
幼い頃から経験を積んでいる人ってやっぱり違うなって改めて思った。
福島:今回の演目は忠臣蔵の討ち入りをめぐる家族の物語だったから、私たちみたいな学生でも「忠臣蔵」というキーワードを聞くだけでイメージし易かったし、
物語にも入っていくことが出来た。家族それぞれが誰かに何かしらの隠し事を持っているという内容にも興味が持てたし。
泉:それに物語自体は、主人公重太郎が自分の主君のかたき討ちのために息子を殺し、妻も自殺してしまうという悲劇だけど、
主人公以外の登場人物にもそれぞれストーリーがあって物語にも奥行きが出ていると思った。
家族を支えるために娼婦に身を落とす妻おりゑの生き方とか同じ女性として考えさせられるし、自分の志のために実の子を殺してしまう場面なんかは
今の私たちの感覚からかけ離れていて印象的だった。それも意外と語り口調が分かりやすくて…言葉の一つ一つ、単語が聞き取れたことがよかったね。
福島:あと今回の公演は特設舞台ということで逆にそれが物語に入っていきやすい空間を作り出していたと思うし、
舞台と客席の距離感が近かったから一体感が生まれているように感じた。凄い居心地の良い空間だったな。
©KAAT神奈川芸術劇場
泉:うん。やっぱり距離が近い分物語に引き込まれるし、お二人の迫力を肌で感じられた。
福島:息遣いとかまで感じられるのは貴重な経験だなって思う。駒之助さんの顔の動き、筋肉の変化まで見ることが出来たよね。
表情に注目したり、動きを見たり、物語をただ聴くだけじゃなく色々なところに楽しみもあった。
泉:顔の変化で登場人物それぞれの心情が伝わるのは凄いと思った。一人が同じ台本を見て話しているのに、8人分の世界を作り上げていて…。
表情の変化まで感じられたのは距離が近かったからだと思う。
福島:凄くシンプルな舞台で無駄なものがない空間だけど、現代的な要素と能舞台の古典的な部分が上手く融合して味のあるモダンな空間だったなと思った。
あの特設舞台は見る価値あると思う。
泉:あとどうしても古典芸能とかは私たち学生は入りにくいと思わない?格式高いイメージで。
福島:そうそう。「何を着ていったら良いんだろう?」「どういう振る舞いをすれば良いの?」というところから疑問に思ってしまうよね。
泉:その点KAATはミュージカルや演劇なども上演している劇場だし、観に来やすかった。
福島:構えていかなくても良いというか、気軽な気持ちで行くことが出来たよね。
それに、私たちは24歳以下だから今回の公演も2000円で観劇できたし、KAATにふらっと立ち寄って古典芸能に触れられるって特別なことだよね。
(※24歳以下の方への割引は公演によって異なります。)
泉:ほんとに!きっと大学生はこういう公演をこの価格で観られるってことを知らないと思うけど、絶対に観る価値があるって言い切れる!
福島:客層としてはご年配の方が多かったし、リピーターの人も多いだろうけど、私たちみたいな初心者でも色々吸収して帰って来られると思う。
泉:私たちが観たときも半分くらい初めて義太夫を聴くお客さんがいたけど、その人たちに向けての解説も付いていたのは良かったよね。
福島:あらすじがプログラムに書いてあっても意外としっかり読んで予習することってしないでしょ?
解説を聞いて観るのと観ないのとでは、物語に入り込めるかも全然変わってくるよね。
泉:今回KAATで見たときも感じたけど、私たちの世代があまり観に来ていないっていうのはやっぱり少し寂しいよね。
ご年配の方がほとんどだった気がする。
福島:日本で生活しているのだから、一つくらい日本の伝統芸能に触れて何かを感じて欲しいなと思う。
泉:あの空間にいるっていうことが特別だから、絶対に観るべきものだよね。
福島:20代で義太夫を聴いたことがあるって格好良いことだと思うよ。
泉:「義太夫聴いたことあります」って素敵だね。
福島:今後、社会に出てからも年配の人と話す場面がたくさんあると思うし、
「義太夫聴いたことあります」って話すだけで向こうが私たちに抱く印象も違うと思う。
泉:私たちみたいにミュージカルが好きな人も十分楽しめると思うし。
福島:「義太夫って何?」と思っている人がほとんどだと思うけど、ミュージカルとそんなに変わらないよ!
歌と言葉があって、三味線の演奏に乗って物語が進んでいく点においてはミュージカルだし、一人で何役も演技もしているから演劇そのものだしね。
泉:ほんとだよね!ぜひ駒之助さんの熱を肌で感じて欲しいよね。女流義太夫をやっている方って全国人30人もいないんでしょ?
その中の人間国宝の演技を観られるってすごく貴重な経験だと思うし。
福島:人生で一度は観た方が良いと思うし、今回この公演を観てはまる人もいると思う。私も10月にある第三弾に行きたいと思ったしね。
泉:私も10月行くつもり!(笑)なかなか観る機会のない女流義太夫の公演を間近に、観られるんだよー!
こんな機会めったにないから時間がある大学生のうちに絶対観た方が良いよ!義太夫を聴いてみんなで素敵な大人になりましょう!
<ライタープロフィール>
□泉多希子
東京理科大学経営学部
政策専攻2年
主に宝塚や四季などミュージカルを観ることが好きです。
□福島珠理
フェリス女学院大学
文学部コミュニケーション学科3年
舞台に立つのも観るのも好きです。