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神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」。
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黒岩神奈川県知事×白井監督×八木大使「かながわマグカルトーク!(後編)」
2017.10.30

八木大使:話がちょっと神奈川の魅力に戻るんですけれども、白井さん自身は神奈川に芸術監督からより深く関わられるようになられて、神奈川の魅力を改めてどのように感じていらっしゃいますか。

白井監督:神奈川という場所が、日本のジャズの発祥地であったりとか、バレエが初めて入ってきた場所であったりする。芸術の中では割と最先端をいっているようなニュアンスはすごく感じていた。先ほど知事からお話があったように、もっともっとそれを加速していかなければいけないという課題はあると思うんです。ヨコハマというのは流行の先を行っているような印象があった。そういったものをもっと拡げていきたいというのは知事と共通の思いとしてありますね。

黒岩知事:「地劇」ミュージカルというものをどんどんやっていこうとしています。「地劇ミュージカル」というのは神奈川県が設置しているマグカル・テーブルで座長を務める西川りゅうじんさんが名付けたのですが、土地に徹底的にこだわった物語を演劇にしていくものです。

八木大使:神奈川のここでこんな物語がありましたとか。

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黒岩知事:要するに、昔の伝説みたいなこと。何かの発祥の地もあるでしょう。その場所にこだわって歴史を掘り下げていって、その場所で演じていく。例えば、「おさん伝説」というのがある。ヨコハマは昔、海だった。これを干拓して今のようになった。何百年か前に戻って、ここを干拓したら港になって将来栄えるはずだと言ったお侍さんがいたの。その人が言って工事を始めるんだけど、いつも洪水が来てみんな死んでしまう。それを繰り返すうちに神主さんが出てきて、これは人柱を立てなければいけないんだと言って、「おさん」という女の子が選ばれて。それによって工事がうまくいって、今のヨコハマがあるという物語。

八木大使:悲しい物語ですね。

黒岩知事:そのおさんの生まれ代わりが今いるという設定で、おさんの生まれ変わりは、本人は全然分かってなくて、スーパーでレジ打ちしている中年の女性という。そこから物語が始まる。それを天使が見ていて、おさんの生まれ変わりなのに、何をやってるんだと言ったところから、昔の物語に入っていき、干拓の物語をやる。人柱に立って、彼女は死んでいくわけでしょう。そのことによって今の横浜があるんだということを、そこに住んでいる人たちが演じているわけ。しかもこの劇場の下は海だったんだなと感じながら見ていると、迫ってくるものが全然違うんですよ。こういうものが地劇ミュージカルというもの。県内でいくつもあるから、競い合ってもらって、いいものを選んで育てていこうということをしている。

八木大使:地劇ミュージカルのコンテスト、フェスティバルもやっていますね。

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黒岩知事:この間、地劇ミュージカル公開コンペをやって最優秀作品に選定されたのが、「日本国 横浜 お浜様」。それはちょうど横浜開港当時の館にいた伝説の姫みたいな。今それをブッシュアップしてミュージカルにしようとしている。

黒岩知事:例えば、鎌倉が日本のバレエ発祥の地だって知っていた?

八木大使:バレエ発祥の地なんですか?

黒岩知事:ロシアのバレリーナが亡命して日本に来ていた。鎌倉にいて、そこで自分の生計を立てるために、バレエを教えた。それが日本のバレエの始まり。古都鎌倉というイメージと、バレエというイメージとすごくギャップがあるでしょう。それが面白いじゃないですか。こんなものも地劇ミュージカルにしていける種だと思っているんです。

八木大使:本当に考えたら、神奈川県にはいろんな場所があって、それぞれに物語があるんですよね、地元、地元の。それが全部市町村ごとに出てくるとおもしろいですね。

黒岩知事:実際に市民ミュージカルの皆さんがやっているのを芸術監督が全体を磨きあげて、ひとつの作品に仕立てていくということがあるとうれしいですね。

八木大使:白井さんと地劇というギャップがまたおもしろそうですね。土着な感じと、現代アートの組合せで何かおもしろいものが出来そうです。

白井監督:そうですね、日本のバレエというのはロシア系譜なんですよね。それを現在、バレエをされいる方々から遡っていくうちに、あれ?鎌倉にたどり着いた、アンナ・パヴロワさんだ、みたいになっていったらおもしろいと、知事のお話を聞いて、自分なりに話が膨らんでいきますね。

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八木大使:ここで今膨らんだんですか、すごいですね。ストーリーができてましたね。

白井監督:先ほどのレジの中年の女性から話が遡っていくのと同じように、もしかしたら、知事のおっしゃっていることが、僕が志向していることと、どこかで接点を持つ可能性があるとは思うんです。そういうことが、やっていく中で見つかっていけばいいなと思っているんです。

黒岩知事:白井さん演出の「マハゴニー市の興亡」という作品。初日と最終日を見にいったら全然違ってました。

八木大使:それが舞台のおもしろさですよね。

黒岩知事:こんなに演出のダメだしを毎回やる人って白井さん以外あまりいないですよね。毎回見て毎回ダメだししている。

白井監督:そうですね。

黒岩知事:初日と最終日は全然違って成長している。お客さんはそれをちゃんと知っている。

白井監督:でも、初日に来たから損してるわけではないですよ。その日その日のベストを尽くしているんです。

八木大使:最後にメッセージを。

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黒岩知事:神奈川というのは、都会っぽいイメージがありますが、実は田舎っぽい感じの生活もできるんですね。湘南の海はあるし、足柄の田園地帯もある。週末にはセーリングやサーフィン、あるいは農作業をしながら、平日は職場に通う。そういう「ちょこっと田舎、オシャレな神奈川ライフ」を満喫しながら、しかも、マグカルのエンターテイメントなども楽しめ、仕事もできる。そういうライフスタイルを可能にするところだというのをアピールしたいですね。

白井監督:僕は劇場を中心に活動をしているので、KAATに来ると、ほかでは味わえないような芸術に触れられる場所にしていきたいと思いますし、そこをポイントに、皆さんがまちに繰り出していったりできる、ひとつのキーの場所になっていただければうれしいと思います。

八木大使:いつも色々なことが活性化している場所になるんですね。

白井監督:もっともっとそうしていかなければならないと思っています。

マグカル編集局より:土地に密着した地劇ミュージカルの面白さ、神奈川の魅力を改めて知る事ができ、ますます神奈川県に住んでいる事が楽しくなる対談でしたね。
黒岩知事、八木大使、白井監督、本当にありがとうございました!

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