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伝統芸能

カナガワ リ・古典プロジェクト2017 in 大磯

カナガワ リ・古典プロジェクト2017 in 大磯

・今年のリ・古典は、歌舞伎舞踊 長唄「當大磯由縁春駒」が上演されます。まず、歌舞伎舞踊と日本舞踊はどう違うのでしょうか?

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花柳登貴太朗さん

花柳登貴太朗さん:日本舞踊の母体は歌舞伎です。簡単に言うと、歌舞伎の舞踊シーンが日本舞踊の起源で、安土桃山時代、出雲阿国(いずものおくに)が歌舞伎踊りを始め、踊りだけだと飽きてしまうのでお芝居を付けて、それが徐々に独立していったものが日本舞踊の始まりだと言われています。

・歌舞伎から日本舞踊が派生していったわけですね。花柳登貴太朗さんは「花柳流」ですが、そのほかに日本舞踊にはどのような流派があるのでしょうか。

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西川扇千代さん

西川扇千代さん:全国には、日本舞踊協会に所属している流派が120程度ありますが、個人も含めるとそれはものすごい数の流派が存在するはずです。その中でも特に、五大流派と呼ばれているのが花柳流・藤間流・若柳流・西川流・坂東流です。その中でも、花柳流は割と振付が多く細やかで、華やかな踊りだと言われています。その他、西川流は歌舞伎の役者さんに振りを作っていたことから振りが大振りで、古典的な作風が多いなどといった特徴がそれぞれあります。

・花柳登貴太朗さんが日本舞踊をやることになったきっかけはどんなことからでしたか?

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花柳登貴太朗さん:4歳の頃に親に連れられて芝居を見に行ったのがきっかけだったかなあ。もう50年程前になるのですが。当時、昔の女性というのは皆さんお琴をやったり古典芸能をやったりすることが普通の生活にあったんですよね。生け花とか、お茶とか、それらが特別なことじゃなくて近所の先生から習っていました。現代風にいうと、フラダンスやろうとか、エアロビクスやろうとか、そんな感じで自分は日本舞踊に自然とはまっていったんだと思います。

・普段はどのような活動をなさっているのですか?

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花柳登貴太朗さん:高校に舞踊を教えに行ったり、お稽古をしたり、振付や発表会の構成を考えたり、自分も踊ったりしています。最近思うことは、親御さんと話してみると気持ちの触れ合いが少ない子が多いのかなという気がしています。今の時代、子どもの数も減ってきているし、日本舞踊だけに限った話ではありませんが世代を超えた人たちの触れ合いがある稽古場って大切かなと思うんですよ。普通の生活をしていたらなかなか自分の居場所を見つけづらいところはあるんじゃないでしょうかね。

・稽古場が自分の居場所になるって、素敵ですね。学生や小さな子どもにとっては、親がきっかけを与えてくれなければなかなか伝統芸能と触れ合う機会は少ないのではと思います。

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花柳登貴太朗さん:日本舞踊というのは、踊りもさることながら稽古と一緒にお行儀作法を学ぶというところもあるんです。綺麗に立つ、踊る、扇子を使う、正座をしてお辞儀をするなど、小さなころからやっておくと自然と身に付くことも沢山あるんですよ。日本舞踊協会では、子どもの育成にも力を入れているので、昔の日本の遊びなんていうのも取り入れながら稽古をしています。今回のリ・古典も、小さな子どもたちに古典芸能を見せる機会を提供できるというのは非常に良いことだと思います。

・日本舞踊の魅力ってなんでしょうか?

花柳登貴太朗さん:私にとっては身近過ぎて、ちょっと分からなくなってしまっているところもあるのですが、男が男役をやるとは限らず、女役にもなります。いろいろな衣装を着て、役を演じるという、変身するみたいなところが魅力に感じているのかもしれません。それと、昔から、稽古場でなかなか家庭では口に出せない悩みなどを仲間内で相談し合うなど、心を解放できる場所があるというのも良さと言えるのかもしれません。

・ここからは、リ・古典に向けての演目についてお伺いします。長唄「當大磯由縁春駒」とは、どのような内容なのでしょうか。

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花柳登貴太朗さん:今年は大磯でやるということから、小田原~大磯を中心に繰り広げられる有名な鎌倉時代の曾我兄弟の仇討ちを取り上げることにしました。これは、日本三大仇討の一つとされる物語で、父親を殺されてしまった曾我十郎、五郎が仇を討つというものです。曾我兄弟のお姉さんの名前は「二宮」ですし、十郎の恋人は「大磯の虎」、五郎の恋人は「化粧坂(けわいざか)の少将」と、大磯周辺の地名がいっぱいでてくるので皆さん親しみやすいのではないでしょうか。

・ズバリ、見どころを教えてください。

花柳登貴太朗さん:リ・古典では、全く日本舞踊を見に来たことがない人もいらっしゃるということを想定し、振付も、衣装も、そして小道具も華やかに、豪華にやります。とりあえず女役ばかりで綺麗だな、華やかだな、という掴みを大事にしようと、今回は曾我兄弟の恋人である「大磯の虎」、「化粧坂の少将」で上演することにしました。ストーリーが分からなくても見ているだけで楽しい気持ちになれると思いますので難しく考えず、小さなお子さんも一緒にぜひ見に来てください。
私は旅の男、司会のMITSUMIさんは大磯宿の宿屋の娘として、公演前に分かりやすく芝居がてら解説らしいことをやるつもりですので、楽しく分かりやすく見ることができると思います。

・ここからは出演者の皆さんに、リ・古典に対する意気込みをお伺いします。

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泉徳保さん(朝比奈妹舞鶴)

あまり難しく考えず、理屈抜きに楽しめる公演にしたいと思っています。大磯周辺は歴史の宝庫ですから、その場所で曾我物をやるということにかなりの意味があると思っています。今回は、皆さんに華やかなものを見てもらいたいということで女物に差し替えてやります。曾我兄弟の恋人である「大磯の虎」、「化粧坂の少将」などネットで検索してもらえばサッとでてくるはず。今はインターネットの時代ですから、ぜひ検索してみてください。僕たちは、その歴史を知ってもらうきっかけになればと思っています。

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岩井寛絵さん(春駒売おちょう 実は 化粧坂の少将)

リ・古典が伊勢原の大山で開催されている時に見に行っていたので、まさか自分が今年躍らせてもらうことになるとは驚きました。母は舞踊が好きだったものの、病気でできなかったんですね。それで子どもたちにという思いがあり、私は物心つく前から踊らされて今年で33年続けています。このメンバーでやるのは初めてなので勉強しながら一生懸命踊ります。リ・古典を通して一人でも多く日本舞踊に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

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泉秀彩霞さん(春駒売おとり 実は 大磯の虎)

リ・古典当日は、大磯宿場まつり開催日でもあるんですよね。大磯に、踊りを見に来る目的以外でいらっしゃる人も多いと思います。私は祖父が日本舞踊をやっていて、5歳の時に一緒に連れて行ってもらったことがきっかけで20年間続けています。大磯や二宮に馴染み深い内容を大磯という地でやることにも意味があるのですが、せっかく古典と現代作品がコラボするので、日本舞踊の形を、いろんな広い意味で理解していただけたら嬉しいです。

・今回出演はしませんが、稽古場のお手伝いに来ていた中学生の板倉琉世さんに、日本舞踊の魅力を伺いました。

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板倉琉世さん

最近ロボットとか、AIとか、機械が世の中に増えているじゃないですか。日本舞踊って個性的で、心の描写があって、ロボットには絶対できない表現力があると思うんです。心の豊かさや、人間にしかできない繊細な動きのある古典的な芸術だからこそ、日本舞踊は素晴らしいと感じています。

当日は、歌舞伎舞踊長唄「當大磯由縁春駒」のほか、現代音楽と日本舞踊がコラボする企画「花ざかりの森」も予定しています。こちらは、振付や髪型も、現代風にアレンジをして挑戦するそうです。江戸時代から続く日本舞踊と現代音楽がどのように絡み合い表現されるのか、こちらも楽しみですね。リ・古典の締めくくりには、江戸時代の古典的な花火が打ち上げられます。今年は大磯で、伝統芸能の世界をたっぷりとご堪能ください。

今後の活動予定
第53回 神奈川県名流邦舞祭
11月23日(水・祝) 11:30~
場所:神奈川県立青少年センターホール
料金:6,000円(自由席)
お問い合わせ 0467-46-2212 日本舞踊協会神奈川県支部事務局
http://nihonbuyou.or.jp/

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