<和の魅力を再発見!>伝統芸能を見に行こう(後編)
秋のオススメ伝統芸能 3
【 9/24 】横浜赤レンガ倉庫の舞台を幻想的にライトアップ!
まったく新しい“現代の能舞台”、「赤レンガ薪能」
横浜港の夜景とライトアップをバックに広がる幽玄の世界
観世流実力派・梅若紀彰が能「船弁慶」を舞い、“平成の大和絵師”とも呼ばれる画家・山口晃が能舞台には欠かせない「鏡板」を揮毫、その空間を世界的照明デザイナーの石井リーサ明理の灯りで幻想的に包み込みます。想像しただけでワクワクと胸が踊る舞台です!
初心者でも楽しめる“あらすじ”付き舞台とレアな座席
演目は
能「船弁慶 重前後之替」 (観世流)梅若紀彰
狂言「蚊相撲」(大蔵流)山本則重
どちらも能初心者でも楽しめる曲ですが、さらに今回は、日本語と英語であらすじを用意し、タブレットやスマートフォンで見ることができるように配信するとのこと。普段は能になじみのない人が、予備知識を持たずにふらっと訪れても楽しむことができそうです。また、価格設定にも幅があり「少しだけ見てみたい」という人でも手が届く価格になっています。(さらに、自由席は通常の能舞台では見られない角度から見ることができるレア席だそう!)
制作発表会に行ってきました!
先日行われた制作発表会では、梅若紀彰氏、石井リーサ明理氏、山口晃氏が出席。総合プロデューサーの横浜能楽堂館長・中村雅之氏が概要を説明し、「今までの薪能とはまったく違う世界を作り出したいと思っています!」と熱く語りました。
能、照明、美術とジャンルは違えども、それぞれが各界を代表するトップランナー。コメントも個性にあふれ、舞台への期待を大きくかきたてられました。
今年、開館20周年になる横浜能楽堂ですが、横浜赤レンガ倉庫で行う能舞台はこれが初めてだそう。秋の夜、後方に広がる横浜港の夜景と美しい月の光に照らされて舞う能。さらに芸術的な照明で包み込まれ、背後に平成大和絵の松が浮かぶさまを想像すると、日本文化の素晴らしさや懐の深さを感じずにはいられません。素晴らしい月夜と気持ちの良い夜風に恵まれるよう、今から祈っておきましょう!
山口晃「鏡坂」公開制作を見てきました!
「赤レンガ薪能」に先立ち、8月26日に行われた画家・山口晃さんによる鏡板の公開制作。みなとみらい駅近くのクイーンズスクエアという場所柄、ショッピングや通勤など通りすがりの人々も足を止め、どんどん仕上がっていく松の絵に見入っていました。
赤レンガ薪能では、その場所らしい奥行きが損なわれないよう、また、ベイブリッジや夜景が見えるよう、鏡板に透明な板を用意。ツヤのある素材を活かし、油絵具で制作されました。これは能の歴史上初の試みです。
途中に挟んだ休憩時間以外はほとんど休みなく刷毛を動かしていた山口さん。制作途中の取材では、次のように話していました。
「能舞台の鏡板はあくまでも背景で、主役は能楽師です。先達の手本に忠実に、人が前に立った時に舞台が広がるよう、舞う人を引き立てるような松を意識しました。そこに少しだけ自分なりの新機軸を打ち出したいと思っています。
透ける素材のため、松の後ろには現実の空間が映し出されます。夢と現(うつつ)の間に現れるような、擬似的空間を作り出せるといいですね」
■日時:平成28年9月24日(土)
■会場:横浜赤レンガ倉庫イベント広場 特設舞台
■料金:特等席(指定席・雨天時は能楽堂のS席):7,000円
一等席(指定席・雨天時は能楽堂のA・B席):6,000円
二等席(指定席・雨天時は払い戻し):4,000円
自由席(雨天時は払い戻し):2,000円
*横浜能楽堂では特等席、一等席のみのお取扱い。
■チケット:特等席、一等席は完売しました。
*二等席、自由席はチケットぴあにて
秋のオススメ伝統芸能 4
【 10/9 】年に一度の横浜公演!
三位一体の複合芸術、ユネスコ無形文化遺産の「人形浄瑠璃」
心情までもあらわす微妙な動きに惚れ惚れ
横浜ランドマークタワーがよく見える小高い丘の上に建つ神奈川県立青少年センターで、毎年10月に行なわれている「人形浄瑠璃・文楽」。
大阪発祥の文楽の公演が神奈川県で鑑賞できるめったにない機会とあり、毎年高い人気を誇る公演です。
「人形浄瑠璃・文楽」は、聞いたことはあっても実際に見たことがある人は多くはないかもしれません。太夫の語りと三味線の音、そして人形。この3つが舞台の上で一体となって複雑なドラマを繰り広げる複合芸術で、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている日本を代表する伝統芸能です。1体の人形を操るのは3人の人形遣い。世界でも類を見ない、心情まで表す微妙な動きが見どころのひとつで、「まるで生身の人間のよう!」と、多くのファンの心を掴んでいます。
初心者でも安心な字幕付き! 舞台の世界に集中できる
この青少年センターの公演では、あらすじを出演者が解説してくれたり、字幕がついたりといった初心者にもわかりやすい演出が大好評。
前回見た人たちからは、「字幕がとても見やすかった。始めの解説で、話の流れをつかめたので、良かった」「初めてなので、文楽の内容が理解できるのかと心配したが、語りの細かな表情と人形の動きに感動しました」「小さいホールのためか、音も舞台も近くて、良かったです。ぜひ来年もお願いします。ありがとうございました。」
との声が寄せられています。初めて見る人も、文楽ファンも、ともに楽しめる舞台となりそうです。
当日は、昼の部と夜の部で違う演目が行われます。
妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)杉酒屋の段、道行恋苧環、姫戻りの段、金殿の段
……「大化の改新」を題材に、虚実を巧みに織り交ぜられて語られる壮大な物語。
【夜の部】
近頃河原の達引 (ちかごろかわらのたてひき)四条河原の段、堀川猿廻しの段
……京都の貧しい猿廻しの家を舞台とした、母、兄妹の思いやりに満ちた物語。
昼の部のチケットは残りわずかとなっているそうですが、夜の部はまだ残席があるとのこと。夜の部の「近頃河原の達引」は、悲劇でありながらどこかユーモラスな、おかしみと哀愁が交差しながら進む人情物語です。秋の夜、人形が織りなす舞台の世界を味わいに、足を運んでみませんか?
■日時:平成28年10月9日(日)
昼の部 13時00分開演(12時30分開場)
夜の部 17時00分開演(16時30分開場)
■会場:県立青少年センター ホール
■料金:一般 A席 3,200円/B席 2,500円/C席 1,500円
車いす席 2,500円 付添席 2,500円
学生 1,000円
■チケット:チケットかながわ 0570-015-415(受付10:00〜18:00)
(神奈川県立音楽堂、神奈川県民ホール、KAAT神奈川芸術劇場にて窓口販売もあり)